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感染対策の取り組み

近年MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、セラチアをはじめとする院内感染が問題となっていますが、当院では昭和60年4月より院内感染対策委員会を設置し院内感染の予防に努めています。

院内感染対策は病院職員が一丸となって感染予防に取り組むものであり、病院全ての部署について適用するものです。委員会は病院長、院長補佐(委員長)、内科医師、小児科医師、婦長、整備課長、薬剤師、細菌検査室技師、放射線科技師と各病棟の看護婦よりなるリンクナースより構成され、月1回会合を開いています。委員会で決定した事項はナースリンクにより各病棟に伝達、指導されます。また、委員会内に分野別のスモールグループを設置し、「普遍的予防措置」「血管カテーテル」「尿道留置カテーテル」「院内気道感染」「手術部位感染」「医療器具の滅菌と消毒」などの感染対策を強化しています。さらに、昨年度は医師2名がインフェクションコントロールドクターの資格を取得し、実のある感染対策を行っています。

院内感染対策委員会の活動内容は以下のとおりです。

  1. MRSAをはじめとする院内感染菌のサーベイランスとその評価・対策
  2. 特殊疫学調査の実施
  3. 感染対策マニュアルの作成(HIV、MESA、クロストリジウム・ディフィシル腸炎、結核)実施、及び指導
  4. 定期的な院内各部署の環境検査の実施と評価
  5. 抗生物質の適正な使用の指導と監視
  6. 院内の医療廃棄物処理規定に基づく適正な処理の指導と監視
  7. 問題となる院内感染症発症時の迅速な対応
  8. 感染症発生動向調査の基幹定点病院としての報告
  9. 定期的な感染対策の啓蒙活動(院内講習会
  10. エイズ拠点病院としての円滑な診療の実施

当院では院内感染対策の基本としての「衛生学的手洗い」を重視し、全病棟の看護婦、研修医には模擬手洗いによる教育を年間を通じて行っています。また、床の粘着マット、予防着の過剰な着用、消毒薬の噴霧、紫外線殺菌灯による予防着滅菌など過去に行われてきた医学的根拠の乏しい感染対策は廃止しております。耐性菌を増やさないためには抗生剤の適正使用が必須ですが、院外からも感染症専門医を招き毎月医師への講習を行っています。

ちなみに、院内感染で代表格のMRSAについてですが、当院における黄色ブドウ球菌中でのMRSAの割合は45%~50%です。一時期は60%近くまで増加しましたが、様々な感染対策で再び減少いたしました。日本では300床以上の病院でのMRSA分離頻度が平均70%と極めて高い中、低い数字に抑えられています。しかし、これらの数字はアメリカでは40%、イギリスで20%とさらに低く、私どももこれに近づくべく院内感染対策に努めてまいりたいと考えております。

感染対策室のご紹介

院内感染対策に関する基本的な考え方

当院の感染対策の使命は、医療関連感染を未然に防止するとともに、ひとたび感染症が発生した際には拡大防止のために、その原因を速やかに特定しこれを制圧し収束させることです。院内感染対策を職員および委託業者全員が理解し、当院の理念に沿った医療が提供できるようにします。
感染対策室は、院内感染対策室長、感染症科医師、感染管理認定看護師、細菌検査技師、感染管理認定薬剤師、事務員で構成され、感染対策委員会の事務局・感染対策チーム(Infection Control Team ICT)として組織横断的に活動しています。

院内感染対策に関する管理組織

院内感染対策委員会(ICC)は、病院長、看護局長等各関係部門の代表者を構成員として組織され、毎月開催されています。日常的に院内感染対策の活動を行う感染対策チーム(Infection Control Team ICT)を委員会の下部に設置し、ICTで提起された内容を審議・承認します。

感染対策チーム(ICT)
院内感染対策の検討・推進、院内感染の対応及び原因究明、感染症発生等の情報収集と分析、院内感染対策に関する職員の教育・研修等を計画・実践・評価し、ICCへ報告しています。

感染症及び保菌者サーベイランス

細菌検査室と連携し、病院内の感染症の発生状況及び病原菌の検出状況を情報収集し、院内で拡散していないか確認しています。感染症制御システムの導入により、よりリアルタイムに情報収集が可能となり、現場への迅速な情報提供ができています。

医療関連感染サーベイランス

JHAISに登録し、全病棟CAUTIサーベイランス集中治療部門VAEサーベイランスを実施しています。また、看護協会のDinql事業でのCAUTIサーベイランスに登録しています。
JANISのNICU部門・細菌検査部門サーベイランスに登録・参加しています。
消化器外科・心臓外科でのSSIサーベイランスを実施しています。

ICTラウンド


  • 全病棟は毎月1回、各外来・検査室は2か月に1回ICTラウンドを実施しています。感染対策の実施状況の確認や、委員会で決定された重要事項の伝達を行います。

看護局感染対策委員会(リンクナース会)

各病棟・外来・各部署から看護局長に任命されたリンクナースで構成され、毎月開催されます。感染対策委員会で決定した内容を各部署へ伝達し、各部署での感染対策のリーダーとなっています。

院内感染対策マニュアルの改訂

院内感染対策マニュアルを定期的に見直し、改訂できるよう計画し、院内感染対策委員会と連携し、実行しています。

院内研修会の開催


  • 病院職員および委託業者向けに院内感染対策研修会を開催しています。全職員・全委託業者が2回/年以上受講できるよう、DVD・院内イントラでの視聴ができるよう整備しています。

  • 新研修医・新人看護師向けに感染対策研修会を開催しています。

  • 看護局教育委員会と共同で院内認定感染対策看護師を育成しています。

感染防止対策地域連携カンファレンス

感染防止対策加算2施設(5施設)と連携し、4回/年カンファレンスを開催しています。連携施設と共同課題として、手指衛生・抗菌薬適正使用を取り上げ、情報交換・活動報告をしています。また各施設のラウンドや事例検討を行い、地域ぐるみの感染対策を実践しています。