今回見学させていただけたことで、自分が医療に携わるということの重みを改めて学ぶこことなりました。
それは多くの方の献体としての協力あってこそ、今日の医療を築き上げることができたということです。献体としてご協力いただいた患者さんに敬意をもって接することで、自分が臨床に赴いた際に他の患者さんにも敬意を欠くことなく接していけるよう心がけようと思います。
最初に刺青についてのご説明をいただきましたが、ファッションの一環としてしか認識していなかったことを今では恥ずかしく思います。先生は間違うこと(知らないこと)を恥じる必要はなく、その失敗から学ぶ(知る)権利と機会が学生にはあると仰って下さり、今回の見学でより一層深く印象に残る学びとすることができました。刺青と言うのは外見上だけでなく、墨により汗腺が塞がれてしまい体温調節機能に障害を受けることや、刺青に用いられている朱は水銀であったことを今回教わりました。
今まで水銀といえば人体に有害なイメージしかなかったのですが、昔は梅毒の治療にと、医療の現場でも使われていたなど“今”だけに捉われていたのでは学ぶことのできないことを教えてくださいました。
また、他にも日本は世界中の罹患の50%を占めるクロイツフェルト・ヤコブ病大国でありながら、脳外科領域で用いられた乾燥硬膜由来の感染であることが大半で、言い換えれば医原性のものと言っても過言ではいこと。今までの学習で異常プリオンによる脳の萎縮という“病態”までは学んでいましたが、その由来までには至っていませんでした。
そしてこのクロイツフェルト・ヤコブ病の例から、医療というものが常に正しかったとは限らず、また先の刺青からも解るとおり、掘り返せば今日の医療に至るまでに数々の転換があったこと、そしてその転換はこの先にも待ち受けているであろうと、うかがい知ることができます。つまり、医療に携わるということは、常に学び続けることだと改めて認識しました。今までの学びは決して無駄ではなく、見回せば何らかの形で繋がっています。
点と点から成る線、線と線から成る面の知識、経験とできるよう学びを深めていこうと思います。最後に、一般には公開されていない見学の求めに応じて頂き、貴重な学びを授けてくださった金子先生に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
鈴木章浩