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熱がでるとき

1. 何故、発熱するのか

発熱の原因は?

各種感染症や癌、広範囲の外傷や熱傷、自己免疫疾患(リウマチ等)で発熱が生じます。ここでは、感染症(いわゆる風邪など)に伴う発熱に関して説明します。
基礎疾患を持つ人(元々何か病気を持っている人)はその担当医の先生に発熱時の対処をご確認下さい。

発熱は生体防御反応!

体温は視床下部の体温中枢で調節されています。感染に伴い体温中枢のセットポイントが上昇すると、体温が上昇(発熱)します。発熱により感染に抵抗する力(免疫力)は高まり、病原体(細菌やウィルス)の力は弱められます。

発熱と高体温症は違う

体温中枢で調節された体温上昇が発熱であるのに対し、気温の過度の上昇や鬱熱(服の着せ過ぎ、布団の掛け過ぎ、過剰な暖房)、脱水などにより、体温中枢とは関わりなく体温が上昇してしまう状態を高体温症と言います。この重症型が熱射病です。

発熱は心配?

一般にヒトでは、41℃未満であれば、熱そのものによる害はないと考えられています。41.5℃以上では熱そのものが有害となる可能性があります。以下に示すような対処をしておけば、感染症で41℃を超える発熱はまずありませんので、熱そのものを心配する必要はありません。大事なのは熱の原因が何かです。

また、熱性痙攣(発熱時のひきつけ)を心配される方も多いですが、熱性痙攣は熱の数字に無関係に起こります。後でお話する解熱剤を用いても痙攣する時は痙攣します。熱そのものを心配する必要はないのです。

2. 発熱時の自宅での対処法

寒がらない程度に涼しく

体温が上昇する際には、筋肉などを震わせて熱を産生します。こういった時に寒気を感じ、この反応が強い状態がいわゆる悪寒戦慄です。こういった場合、目標となる体温に上昇するまで体・手足を暖めてあげましょう。目標体温に達すれば寒気はなくなります。寒気がなくなったら、鬱熱を防ぎ熱の放散を助ける為に、布団も服も寒がらない程度に薄くすることがポイントです。

冷やすか冷やさないか

頭部冷却は、本人の苦痛を和らげ、また体温の過上昇を防ぐ可能性があるので、通常行なったほうが良いと思われます。但し、体温を低下させる訳ではないので、薄着・水分補給を守ればしゃかりきに行なう必要はありません。

解熱剤の使い方

解熱剤は、体温中枢のセットポイントを一時的に下げることによって体温を下げる薬です。解熱剤で熱を下げることにより、機嫌が良くなったり食欲が回復したりとの利点がある反面、無理矢理熱を下げることにより、病気に対する抵抗力(免疫力)を弱め、病原体は活発になるといった欠点もあります。

熱そのもので具合が悪くなる訳ではありませんので、使い過ぎないように注意が必要です。水分を摂れる位の元気があれば解熱剤を使用する必要はないと考えます。逆に水分も取り難いようであれば解熱剤を用い、熱が下がって多少楽になったところで水分を十分補給するようにしましょう。

3. どういう時に病院にかかるか

熱の数字よりも本人の具合が大事

体温が38℃以上あれば、何かしらの病気があると考えなくてはなりません。40℃あるから重症というわけではないし、38℃だから安心ということもありません。具体的な熱の数字に振り回されることなく、本人の具合をみてあげて下さい。

水分が摂れない、意識がおかしい、吐いてばかりいるといった場合は、早めに病院を受診しましょう。
熱が高くても、さほど具合が悪くなければ開業時間を待って近医受診で問題ありません。但し、41℃以上の発熱の場合は早めに病院を受診した方が良いでしょう。

生後4ヶ月未満の発熱は要注意

生まれたばかりの赤ちゃんは、母親のお腹の中で母親から免疫をもらっているので、滅多なことでは風邪をひきません。もし生後4ヶ月未満で38℃以上に発熱した場合は、重症な病気が隠れているかも知れないので、具合は良さそうでも早めに病院を受診して下さい。生後4ヶ月を越していれば、上記の通り本人の具合で判断して下さって結構です。

3-4日発熱が続く場合は、元気でも受診を

具合が良ければ、自宅で様子を見ていても構いはしませんが、発熱が3-4日続くようなら元気でも近医を受診して下さい。ただの風邪かどうかを確認してもらう必要があります。